失敗を怖れてはならない

失敗を怖れてはいないと言う起業家がいるなら連れてきてほしい。その人が嘘つきだと証明してみせよう。かなり大胆な発言だが本当のことだ。失敗を恐れない人はいない。ただ違うのは、人によっては失敗するかもしれないという恐怖心で動けなくなってしまうことだ。恐怖心でまったく足を踏み出せないときもあるが、それは不幸なことだ。そんなときは、とりあえず片方の足をもう一方の足の前に出そう、今日は1本だけ電話をしよう、物件をひとつだけ見よう、2軒めは次回にしようというように決めればいい。難しいことではないが、簡単にできる途中の小さな一歩一歩を見ずに最終結果ばかりに目がいくと、難しいことのように見えてしまうことがある。

失敗に対する恐怖心が、物件を「射止める」ときになって芽生えることがある。いつもこの状態に陥る人がいる。投資の機会を分析しすぎて契約書にサインすることができない。投資物件を分析するときに何を知っておくべきかについて具体的に書かれているので、とくにそのような恐怖心を抱いている人々の役に立つことだろう。数字の積み上げが終わったら、それ以上の分析は必要ない。恐怖心で凍りつくような思いは、もはや過去の遺物だ。

失敗に対する恐怖心は、後悔という形でも現れる。つまり、物件を射止めた後でやっかいな問題に遭遇すると問題は起こって当たり前なのだが契約を決めたことを後悔し、この問題を乗り越えるにはどうしたらよいだろうかと考えるかわりに、「なぜあんなことをしたのだろう」と言っては時聞を無駄にしてしまう。このタイプの恐怖心は、他の点ではすばらしい投資の機会を悪い投資にしてしまうおそれがある。私は、自分の決断を決して後悔したりはしない。いま自分がいるところをスタート地点として、毎日、成功のために全力を尽くすだけだ。

白状するが、私も駆け出しの頃は失敗することに対して激しい恐怖心を抱いていた。ただ違っていたのは、何もせずに恐怖心で凍りついたままではきっと失敗すると、自分でわかっていたことだ。投資がうまくいくように少しずつ前向きに努力するだけでも、成功の確率は高くなると感じていた。失敗に対する恐怖心の問題とはそういうものだ。恐怖心をやる気の源として利用しなければ、それは、自己達成的予言となって実現してしまう。